痔核治療｜まつおかクリニック｜消化器内科・外科・肛門外科

痔核治療について

当院では、日本大腸肛門病学会専門医・指導医による診療・処置を行っております。痔核の状態や症状に応じて、保存療法・注射療法（ALTA療法）・手術療法のいずれが最善かを丁寧にご説明いたします。

ALTA療法による治療を受けるにあたっては、痔の状態を正確に把握し、患者様ごとの生活スタイルに応じた最も適切な治療法を選択することが重要です。「切らずに治したい」「忙しくて入院は難しい」といったご希望がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

痔とは、肛門やその周囲に起こるさまざまな病気の総称で、大きく以下の4種類に分けられます。

痔は大きく4種類に分けられる

内痔核

内痔核

排便時の出血（鮮血）
脱出（排便時に痔が出てくる）
痛みは少ない（※肛門の内側には痛覚がないため）

治療法
保存療法	便通の改善・食事指導・坐薬や軟膏などで炎症を抑える
ALTA療法／ジオン注射	内痔核に薬剤を注入し、痔を縮小・硬化させる方法
結紮切除術	脱出や再発を繰り返す重度の痔に対し、手術で切除する方法

外痔核

外痔核

肛門の外側の腫れ、強い痛み(内痔核との違い)、しこり
血栓性外痔核の場合、突然の激痛を伴うことも

治療法
保存療法	安静・座薬・軟膏で炎症を軽減
血栓除去術	血栓性外痔核では局所麻酔下で血栓を除去
手術	大きく慢性的なものに対しては結紮切除術

裂肛（切れ痔）

裂肛（切れ痔）

排便時（及びその後しばらく）の強い痛み、出血
肛門の出口を硬い便が通過し、粘膜が切れることによって起こる

治療法
保存療法	便を柔らかく保ち、排便をスムーズにする（軟膏・坐薬・緩下剤）
内括約筋の緊張緩和	ストレスや緊張で起こる肛門の過収縮に対しボツリヌス注射など
手術	慢性化し潰瘍を伴う場合、側方内括約筋切開など

痔瘻（あな痔）

痔瘻（あな痔）

肛門周囲にしこりや腫れ、膿が出る
発熱や痛みを伴うことも
クローン病などの合併考慮が必要

治療法
手術療法が原則	瘻孔を開放・切除して根治を目指す（根治術・くりぬき法など）
シートン法	瘻孔が深い・括約筋を温存したい場合に、ゴムひもを通して徐々に治癒を促す方法

ALTA療法（ジオン注射）について

ALTA療法（ジオン注射）は、内痔核（いわゆる「いぼ痔」）に対して行う注射による治療法です。手術とは異なり、肛門を切らずに、痔核に直接薬剤（硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸）を注入し痔核を縮小・固定させることで症状を改善します。手術に抵抗のある方や、なるべく身体への負担を避けたい方にとって、日帰りで受けられる低侵襲な治療として注目されています。

治療の対象となる方

内痔核（Ⅱ度〜Ⅲ度）
→ 排便時に出てくるが自然に戻る、または手で押せば戻るもの
出血を繰り返す痔核
保存療法で改善しない痔核
できるだけ切らずに治療したい方

適応外・治療が難しい方

外痔核・裂肛・肛門周囲膿瘍など、他の肛門疾患が主な原因
内痔核が完全に脱出したままで戻らない（Ⅳ度）
過去にALTA療法で強い副反応があった方
妊娠中・授乳中の方
重度の肝障害や腎機能障害のある方
抗凝固薬（血液をサラサラにする薬）を服用中で休薬できない方

※診察・肛門鏡検査にて、専門医が慎重に適応を判断します。

治療の流れ

1.	❶	診察・肛門鏡検査
	内痔核の状態を診察し、ジオン注射の適応となるか判断します。
2.	❷	治療日のご案内・同意書取得
	治療の流れや注意点を説明し、ご了承の上、治療日を設定します。
3.	❸	治療当日（約10〜15分）
	問題となる痔核に対し薬剤を4か所に分けて注射します。
4.	❹	処置後の経過観察（30分〜1時間）→ご帰宅
	術後の体調を確認し、問題なければその日のうちにご帰宅いただけます。
5.	❺	再診（1〜2週間後）
	経過観察と再評価を行います。

よくあるご質問（Q&A）: Q注射による痛みはありますか？

→ジオン注射自体は痛みを感じない部位に注射するため、疼痛はほとんどありません。処置後に軽い鈍痛や違和感が数日続くことがありますが、多くは自然に軽快します。

Qすぐに治りますか？

→薬剤によって痔核が縮小し、出血や脱出が改善するまでに数日〜数週間かけて徐々に効果が現れます。急速な変化は少ないですが、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。

Q治療後は仕事に行けますか？

→軽作業（デスクワーク）であれば翌日から復帰可能な方が多いです。ただし、重労働や長時間の立ち仕事・運転は数日控えていただくことがあります。

Q費用はどれくらいですか？

→保険適用の治療です。3割負担の方で、約1〜2万円前後（診察料・処置料・麻酔料などを含む）が目安となります。

Q再発はありますか？

→ジオン注射は負担の少ない治療ですが、再発の可能性は10%程度認めます。生活習慣（便秘・いきみ・長時間の座位など）の改善も重要です。

Q治療中に生理が重なっても大丈夫ですか？

→処置自体は可能ですが、感染や出血の観察の点から、生理後の時期を推奨しております。

Q治療後に運転はできますか？

→当日の車の運転はお控えいただき、公共交通機関またはご家族の送迎をご利用ください。またバイクや自転車の運転は１週間ほどお控えください。