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虚血性腸炎

虚血性腸炎について

1. 主な症状

突然発症することが多く、典型的な経過は以下の通りです。

  • 突然の激しい腹痛 特に左下腹部に痛みが起こることが多いです(大腸の左側にある「下行結腸」や「S状結腸」に起こりやすいため)。

  • 下痢と血便 腹痛の後、しばらくして下痢になり、その後鮮血が混じった血便(または粘血便)が出ます。

  • その他: 吐き気や嘔吐、軽い発熱を伴うこともあります。

2. 原因と引き金

大腸の壁に血液を送る血管(動脈)の血流が一時的に悪くなり、大腸の粘膜が炎症を起こしたり、ただれたり(潰瘍)することで発症します。

  • 血管側の要因: 動脈硬化、高血圧糖尿病、脂質異常症など(中高年に多い理由です)。

  • 引き金になる要因: 便秘(排便時に強くいきむことで腸管の圧力が上がり、血流が低下する)、脱水症状、ストレス、過度な疲労など。

  • 若年層のケース: 最近は便秘や無理なダイエット、脱水などが原因で、若い女性の発症も増えています。

3. 重症度による分類

多くは軽症ですが、状態によって3つに分類されます。

  1. 一過性型(約8割): 最も多いタイプ。一時的な血流低下で、適切な治療を行えば数日から1週間程度で後遺症なく自然に治ります。

  2. 狭窄型(きょうさくがた): 炎症が治まった後、腸の壁が硬くなって通り道が狭くなってしまうタイプ。腸閉塞のような症状が出ることがあり、手術が必要になる場合があります。

  3. 壊死型(えしがた): 極めてまれですが最も危険なタイプ。血流が完全に途絶えて腸が腐ってしまい(壊死)、腸に穴が空く(穿孔)ため、緊急手術が必要です。

4. 治療方法

基本的には「腸を休ませること」が最優先されます。

  • 安静と絶食: 軽症であれば、数日間の絶食と点滴によって水分と栄養を補給し、腸を動かさないようにします。これだけで速やかに改善することがほとんどです。

  • 薬物療法: 感染を予防・治療するために抗生物質を使用したり、腹痛に対して整腸剤などを用います。

  • 入院の有無: 症状が強い場合や血便が多い場合は、脱水や重症化を防ぐために入院治療となるケースが一般的です。

5.虚血性腸炎の予防法

虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に悪くなることで発症します。特に「便秘」と「血管への負担(動脈硬化・脱水)」が引き金になるため、日常生活での以下のケアが予防に繋がります。

  • 便秘の解消(いきみを減らす): 排便時に強く「いきむ」と、腸管内の圧力が急激に高まり、大腸への血流が妨げられてしまいます。日頃から水分や食物繊維を意識して摂取し、便通を整えることが最も重要です。

  • こまめな水分補給: 体が脱水状態になると血液がドロドロになり、微小な血管の血流が悪くなりやすくなります。特に夏場や運動前後、高齢の方は、喉が渇く前にこまめに水分を摂るよう心がけてください。

  • 生活習慣病の管理: 高血圧糖尿病、脂質異常症などは、血管が硬くなる「動脈硬化」を進め、虚血性腸炎のリスクを高めます。持病の治療や、バランスの良い食事・適度な運動による血管の健康維持が予防になります。

6.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の役割

虚血性腸炎が疑われる場合、あるいは症状が落ち着いた後に、大腸内視鏡検査大腸カメラ)を行うことがあります。主な目的は以下の通りです。

  • 診断の確定と重症度の確認: 内視鏡で腸の粘膜を直接観察することで、虚血性腸炎特有の「粘膜の赤み(発赤)」「むくみ(浮腫)」「ただれ(潰瘍)」を確認し、現在の重症度を正確に評価します。

  • 他の病気との識別(鑑別診断): 血便や腹痛を伴う他の重要な病気(潰瘍性大腸炎クローン病大腸がん、感染性腸炎など)ではないことを確実に診断するために、内視鏡検査は極めて有効です。

  • 検査のタイミングについて: 発症直後の非常に炎症が強い時期は、腸に負担をかけないよう検査を控え、まずは安静・点滴治療を優先することがあります。症状の推移を見極めながら、医師が最適なタイミングをご提案します。

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