「痔瘻(あな痔)」に関するご相談などは、
まつおかクリニックまでお問い合わせください。
痔瘻は、お尻の皮膚と直腸の間に「膿のトンネル(瘻管:ろうかん)」ができてしまう病気です。
下痢などをきっかけに、肛門の内側にある小さな「くぼみ(肛門陰窩)」に便(大腸菌などの細菌)が入り込みます。
奥の腺組織で感染が起き、肛門のまわりに膿(ウミ)の塊がたまります。この段階では激しい痛みや高熱(38〜39℃)が出ます。
たまっていた膿が皮膚を破って外に出る(または病院で切開して出す)と、痛みは一気に和らぎます。しかし、膿が通ったあとの「トンネル」がそのまま残ってしまい、慢性化した状態を「痔瘻」と呼びます。
下痢や排便時の強い「いきみ」
(勢いよく便が衝突することで、くぼみに細菌が入り込みやすくなります)
ストレスや疲労、免疫力の低下
アルコールの過剰摂取(下痢を誘発しやすいため)
30〜40代の男性に比較的多いですが、女性にもみられます。
お尻から常に膿が出て、下着が汚れます。
肛門のまわりを触ると、硬いしこり(トンネルの通り道)を感じたり、かゆみ・皮膚のかぶれが起きます。
トンネルの出口がふさがってしまうと、再び内部に膿がたまり、前段階の「肛門周囲膿瘍」と同じ激しい痛みと発熱が再燃します。
⚠️ 痔瘻は、市販薬や抗生物質などの「お薬」では根治できません。
トンネルという「物理的な構造」が残っている限り、何度でも細菌感染を繰り返します。
放置して炎症を繰り返すと、アリの巣のようにトンネルが枝分かれして複雑化(複雑痔ろう)し、お尻の筋肉(括約筋)を傷つけて便失禁を起こす原因になります。また、10年以上の長期にわたって放置すると、稀に「痔瘻がん」という悪性腫瘍に変化するリスクもあるため、根治には手術が必須となります。
現在は、お尻の筋肉(括約筋)をできるだけ傷つけず、排便機能を温存する手術が主流です。
トンネルを切り開いて、底から自然に傷が盛り上がって治るのを待つ方法。再発率が低いですが、主に浅い痔瘻に適用されます。
筋肉を傷つけないよう、トンネルの管だけをくり抜いて穴を塞ぐ方法。
トンネルに「医療用の輪ゴムや紐」を通し、数ヶ月かけてじわじわと締め直しながら筋肉を切開していく方法。筋肉の損傷を最小限に抑えられるため、深い痔瘻によく用いられます(日帰り手術で行われることも多いです)。
通常の痔瘻はトンネルが1本であることが多いですが、クローン病に伴う場合は、あちこちに何本もトンネルができたり(多発性)、アリの巣のように複雑に枝分かれしたり(複雑痔瘻)しやすい特徴があります。
腸や肛門の粘膜全体に慢性的な炎症があるため、一度膿を出したり手術をしたりしても、傷口が塞がりにくく長引きやすい傾向があります。
通常の痔瘻(の前の段階である肛門周囲膿瘍)は激痛を伴いますが、クローン病の痔瘻は、じわじわと進行するため「膿が出ている割にはあまり痛まない」というケースもあります。
通常の痔瘻であれば「根本的な手術(トンネルを切り開く、またはくり抜く)」で完治を目指しますが、クローン病に伴う痔瘻の場合、アプローチが大きく異なります。
クローン病の状態で肛門の筋肉(括約筋)を大きく切る手術をしてしまうと、傷口が治らないばかりか、お尻の締まりが悪くなる(便失禁)リスクが非常に高くなります。
お尻の機能を守るため、基本的にはトンネルに医療用のゴムや紐を通し、膿の逃げ道を確保して腫れるのを防ぐ治療(シートン法やドレナージ留置)が優先されます。
クローン病という根本の原因を抑えない限り、お尻だけを治療しても再発を繰り返します。そのため、生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤など)をはじめとした薬物療法で、腸管全体の炎症をしっかりコントロールすることが最大の痔瘻治療になります。
胃腸の調子(慢性的な下痢、腹痛、血便など)に心当たりがある中で痔瘻を繰り返している場合は、肛門外科だけでなく、消化器内科(IBD専門外来)と連携してクローン病の検査(大腸内視鏡検査など)を行うことが極めて重要です。なお当院の院長は兵庫医大炎症性腸疾患外科出身でスムースな連携が可能です。
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